鈍感彼女
「結局、あの時言い訳もしてくれなかったしな。俺に冷めた?俺を嫌った?」
「違ッ...」
「今更言い訳なら聞きたくねえんだよ、俺は。...じゃあな、姫乃」
背を向けて、歩き出す
これでいいんだ、これで...
もう姫乃を見なくて済む
何も間違ってない
俺は、こんなことしか出来ない
だけど、こんなことなら出来る
姫乃が...幸せだと思えればいいんだ
アイツが...好きな奴と一緒に居れるなら、それでいい...
胸が苦しいくせに、気付かないフリをした
「あ、兄貴!!」
帰る途中でたけると会った
「部活の帰りか?」
「そう。ホント楽しかったー」
清々しく言うな、サッカー少年
「兄貴は学校の帰りっしょ?」
「見れば分かんだろ」
「まあな」
たけるは爆笑
はぁ...
俺、コイツと本当に兄弟なのか?
観察力が足りなさすぎだろ
「姫乃先輩とはどうなった?」
「別に。何もなってねえけど」
「兄貴、分かりやすいんだよね~」
「...なんで?」
「瞳。瞳が死んでる」
...有羽にも言われたっけ