鈍感彼女
「さっき話したことは、本当だよ...」
「うん」
でも、そんなことを聞きたいわけじゃない
姫乃が思ってるのは誰かを聞きたい
「采史が帰ってきたのは、本当に知らなかったの...」
「うん」
「でも...あたしの選んだのは...采史だった...斗真...ごめんなさい...」
姫乃は、泣き出した
...結局、変わらなかったんだな
「...そうか」
姫乃の頭を、ポンポンと叩く
「泣くなって。俺は、お前が幸せになればいいんだよ」
「ん...」
「けど、アイツがお前を泣かせたらお前の意見も聞かずに奪うから。そう言っとけ」
「斗真...ッ」
まだ何か言いたげな姫乃をその場に残し、校門を通り過ぎる
「俺を無視するなよ!!!」
「悪い、悪い」
「姫乃ちゃん、いいのか?」
「いいんだよ、もう」
俺は有羽に笑う
「...そ」
そう...姫乃はもう、いいんだ...
姫乃が幸せなら、いいんだよ
そしたら俺は幸せだから...
「じゃあ新しい恋」
「しないよ、当分」