鈍感彼女
「母さんと出会って、翔琉と出会えたから」
俺はニコッと微笑んで翔琉の頭を撫でる
「親父...」
「翔琉も、そのうち本気で好きと思える人と絶対出会える。だから今は、彼女を大切にしてやりなさい」
「...分かったよ、親父。ありがとな」
翔琉の笑顔は、ちょっと俺に似ていた
まあ当たり前か
親子なんだしな...
...姫乃はあれから遠くへ引っ越した
高2の春だった...
兄貴とは、けじめをつけて別れた、と
有羽から聞いた
だからといって俺には関係ない
多分姫乃は、幸せに暮らしてくれてるだろう
もう、姫乃を愛しくは思わない
だけど大切な思い出をくれた
かけがえのない彼女
そして、『鈍感彼女』
きっと彼女が変わらないだろう
そして、俺も変わらないだろう
どこかで、彼女と会うだろう
そのときは、笑って話そう
君は、鈍感彼女
―END―