鈍感彼女


屋上は誰も居ない


「斗真君...」


「あ、悪いっ!!」


パッと手を離す


「...斗真君ってさ...」


消え入りそうな笹山の声


「え?」


「斗真君はさ...モテるじゃん...?」


「あ、まあ...そこまでだけど」


「モテるじゃん...さっきの人だってさ...?」


「あー。アイツ、俺知らねえ」


名前さえ知らねえ


勝手に俺の名前呼びやがって...


まず自分から名乗れって感じ


「あたしなんか...なんの取り柄なんかなくて...」


「そうか?俺は笹山みてぇな奴、好きだけど」


じゃなかったら付き合ってねえ、みたいな?


「わがままだって分かってるけど...斗真君が他の人と話してるの見ると...苦しいの...」


「.....」


笹山、そんなこと思ってんだ...


「だったら...お前以外と話さねえ。学校居る時はずっとお前のそばに居てやるよ。そしたらちょっとは安心するだろ?」


俯いたまま頭を上下に振ってる


「だから顔上げて」


「やだ...顔ひどいから...」


...泣いてんのか...










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