鈍感彼女
「...だったら、姫乃ちゃんの教室行けよ」
「...は?」
有羽は胸倉を離して俺のカバンを奪い取る
「まだ行ってねえんだろ?まだ言ってねえんだろ?」
「....」
つい俯いてしまう
「堂々として、余裕綽々な桐吾斗真が、1人の女相手にもたついてていいのか?」
「....」
その言い方、ちょっとムカつく
「...でもアイツは、俺の顔見たくねえよ...」
「なんでお前が言うんだよ?」
「もし俺が同じことされたら、会いたくねえって心から思う」
「でも、今あるのはお前じゃなくて姫乃ちゃんだろ?」
「.....」
「俺だったら、言い訳でもいいから全部を知りたいって思う」
『言い訳でもいいから全部を知りたい』
...俺の気持ちも、ってことか...?
「彩歌ちゃんのことなら、とっくに解決してあるよ」
「は?」
有羽を見ると、ニコッと笑ってくる
「どうせ斗真のことだから、姫乃ちゃんしか見えてねえだろうと思ってよー。彩歌ちゃんも渋々諦めてたよ。お前、姫乃ちゃんと居る時に嬉しそうに笑ってたからって」
「...そうか...」
アイツにも、悪いことしたな
「...ごめんって言っといて」
「え?」
「あの女に、悪いことしたって言っといて。...姫乃んとこに行ってくる」
俺はダッシュで教室に向かった