鈍感彼女


姫乃の部屋に通された


姫乃の部屋は、寂しげだった


勉強机に教材、ベッドにぬいぐるみ


必要以上のモノは何1つなかった


「姫乃、俺...お前に言わなきゃいけないことがある」


「....」


姫乃は俯く


「最初は...遊びのつもりで近付いた。有羽とも、すぐ別れるって言っていた。でも...一緒に居るうちに本気で...姫乃に惚れてくのが分かった」


「そんなの...嘘...」


姫乃は俯いたまま、目をこすった


泣いてるのは、すぐに分かった


「信じれねえのは分かる。俺の原因だから...でも、最後まで聞いてほしい。聞きたくなくても...聞いてほしいから」


「.....」


姫乃は何も言わなくなった


俺は続けた


「有羽は、俺が一途になるのが気に食わなかったらしくて、昨日の女を1か月前、俺に紹介した。俺もすぐ別れると思ってOKした。でも、俺は全然覚えてなかった。あんな女と付き合ってたことを。連絡も俺が切ってた。だから...急に来たときは分からなかった」


「...なんで覚えてなかったの...?」


「姫乃と一緒に居るのが楽しかったから。俺、幸せだと思えたから」


「お前の友達に、家庭でのことはちょっと聞いた。お前が...苦しんでるのに俺は余計苦しめてたんだな...?俺、姫乃の彼氏なのに...本当にごめん...」


頭を下げる


「...顔...上げて...?」


「姫乃...」


顔を上げると、姫乃が微笑んでる


俺を...許してくれてるのか...?









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