鈍感彼女
「斗真...」
「姫乃さん、今すぐにお帰り申し上げて。そしてもう、二度と姫乃さんには近付かないでくださいますか?」
姫乃の母さんがそう俺に告げる
「お母様!!...それは、出来ません」
「はい?」
姫乃が拒否した
「私は、斗真さんと一緒に居たいと思っています。...斗真さんと、これからもずっと居たいんです」
「姫乃さん?私に抵抗する気で?」
「...ハァー...姫乃、よくこんな会話して息、詰まらせないな」
「斗真...」
何、この面倒な会話
俺、こんなん向いてねえわ
「アンタさ、姫乃の母親なんだろ?」
「そうですけど...口の訊きかたに...」
「うぜぇなぁ。家ん中でなんで敬語遣わなきゃいけねえわけ?しかもお母様って...マザコンじゃねえんだからよー」
クスッと笑う
「母親なんだったら..姫乃の悲鳴が聞こえてんのか?姫乃のことが分かってねえなら...母親失格だな」
俺は冷めた目で母親を見つめる
「...あなた、口悪すぎですわ。姫乃さん、この方と別れなさい」
「嫌です」
姫乃は俺の腕にくっつく
俺も姫乃の手を握る
「俺らは、想い合ってます。アンタがどんな気持ちで姫乃を育てたのかは知らねえけど...俺が姫乃を守りてえって本気で思う。だから...どんなことをされても、俺は姫乃から絶対逃げねえし離れねえ」
「....」
母親は黙って俺の目を見る