鈍感彼女


「ここでいいよ!!」


改札口を前にして笹山が振り返った


「え、でも心配だし」


「平気!!斗真君も帰らなきゃダメでしょ??」


「まあ...」


あ、弟が帰って来たかな


もう8時だし...


「じゃあここで!!また明日ね♪」


「あぁ」


笹山は笑顔で手を振って、改札口をくぐっていった


「......」


俺は彼女の背中が見えなくなるまで立っていた


「...さてと、俺ももう帰るか」


踵を返して振り返る


「...ちょっとツラ貸せよ」


「あ?」


そこにはさっきの男が立っていた


「ンだよ、お前」


「それはこっちの台詞。さっきの仕返しですか?このヤロー」


クスッと笑って横を通り過ぎる


「アイツがどうなってもいいのか?」


「.......」


「アイツが好きなら、ついて来いよ」


俺を追い抜いて行く


...行くべきか...


俺は有羽にメールだけして、男のあとについて行った









< 8 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop