鈍感彼女
「ここでいいよ!!」
改札口を前にして笹山が振り返った
「え、でも心配だし」
「平気!!斗真君も帰らなきゃダメでしょ??」
「まあ...」
あ、弟が帰って来たかな
もう8時だし...
「じゃあここで!!また明日ね♪」
「あぁ」
笹山は笑顔で手を振って、改札口をくぐっていった
「......」
俺は彼女の背中が見えなくなるまで立っていた
「...さてと、俺ももう帰るか」
踵を返して振り返る
「...ちょっとツラ貸せよ」
「あ?」
そこにはさっきの男が立っていた
「ンだよ、お前」
「それはこっちの台詞。さっきの仕返しですか?このヤロー」
クスッと笑って横を通り過ぎる
「アイツがどうなってもいいのか?」
「.......」
「アイツが好きなら、ついて来いよ」
俺を追い抜いて行く
...行くべきか...
俺は有羽にメールだけして、男のあとについて行った