【短編】海に降る雪


 学校へ着くと、なんか違和感。


 その正体はたぶん、みんなの妙に優しい視線だ。


 先生も昨日学校を休んだ理由を聞いてこない。


 友人達も、彼氏の話題を避けてる。




 がんばれよ、早く立ち直れよ、というメッセージはよく伝わってくる。


 うれしいけど、ちょっとこそばゆい。





 死んだ彼氏と電話してる、って言うとどんな反応するかな。



 よし、言ってやろうか。と思ったが、

 強烈な同情ビームと精神病院への招待状をもらえそうだから、やめておいた。




 それにしても、三日たつとみんな、同級生が死んだことなんて忘れたかのよう。


 いつもどおりの普通の教室。


 あの日の涙は偽者だったのかよ。


 すこしイラついてしまった理由が、


 形だけの涙を流す友人達に対してか、
 ユウマの死をもっと悲しんでほしいと思う気持ちからか、


 どちらかはわからなかった。






 昼休みに入ると、後ろから声をかけられた。


 「やっほ、鉄の女」
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