【短編】海に降る雪
家に帰る。部活をしていない私の下校時間は早い。
ユウマが死んでから、携帯をいじる頻度が増えた。
正確には「幽霊」と電話をするようになってから。
普段、学校で無意味に携帯をいじる子達、こんな気持ちだったのかな。
ユウマからの電話が待ち遠しい。
ユウマが死ぬ前はこんな風に感じたことなかったのになあ。
プルル ピッ
着信を聞くと、自分でも笑ってしまうくらいの反射神経で電話に出る。
「もしもし」
『はやっ! そんなに電話が待ち遠しかった?』
しまった。ユウマに気持ちを悟られてしまったのが恥ずかしい。
もっとも、ユウマの口調はからかい半分だったが。
「いや、偶然携帯いじってたから」
『あ、そう。学校、どうだった?』
用事ないのかよ。
いつもならきっとそう思ってた。
「ぼちぼちかな。みんなあんたのこともう忘れちゃったみたいよ」
『ひでぇ! そういう報告いらなくね?』
「ま、これで心おきなく成仏できるし。よかったね」
『本当相変わらずだな。それに俺はまだ成仏できないんだよ』
「え、なんで?」
『あ、いや、なんでもない』
こいつ。なにか隠しているな。