【短編】海に降る雪
やっぱ、力じゃ男にかなわないか。
男達が私の体を触ってくる。服を脱がそうとする。
気持ち悪い。やめろ。触るな。
叫びたいが、声がでない。
プルルルル……
私の携帯の着信が鳴った。
直後に複数の携帯の着信が鳴り響く。
この部屋のすべての人の携帯に電話がかかる、異様な光景。
最初に電話にでるリーダー。ヒッ!という悲鳴とともに携帯を投げ捨てた。
私の事を忘れたかのようにざわめきだす取り巻きと男達。
みんな電話に出ると、同じように悲鳴をあげる。
このわけのわからない状況を頭で整理できないでいると、廊下から複数の足音が聞こえた。
「おい、ドアを開けなさい!」
強くドアをたたく音とともに聞こえてきた声は、私の担任の声だった。
安堵のため息をついてから、私も電話にでる。
――ヴヴヴヴヴアアアアアアアアアアアアアアアア
この世のものとは思えないおぞましい叫び。
おぞましい叫びを発する、ユウマの声だった。