【短編】海に降る雪
私の声をさえぎってまくしたてる幽霊さん。
「質問したいことが山ほどあるけど、本当にユウマなんだね」
『うん、驚かせてごめん。そんじゃ、質問受けつけまぁす』
人を小バカにしたようなこの口調でますますユウマなのだと確信してしまったことが、少々情けない。
「とりあえず、なにそのナチュラルな感じ。
お化けならもっとオドロオドロしい登場の仕方があるでしょ」
『俺なりにいろいろ考えたわけよ。
怖がらせないように、信じてもらえるようにって。それと、俺はお化けじゃない、幽霊、だ!』
そうだ。こいつは普段から無意味なこだわりを持っていたんだ。
ヒーローは最後の最後に現れるとか、なんとか。
「うざい……もう切るよ。成仏してね」
『ちょ、ちょっと待ってよ! ごめんって!』