【短編】海に降る雪


 ガラにもないことを言ってしまった。




 生前、いや私と付き合う前かな、ユウマはそこそこ浮き名をとどろかせた女たらしだったらしい。


 たしかに容姿はなかなかのものだから、女がなびくのもわかる。


 泣かせた女も数知れず、みたいな。


 私の一番嫌いなタイプ。というか、接点はないだろうと思ってた。


 私に目をつけたのも、最初はカタブツの女もいいかな、という気持ちだったらしい。ムカつく。



 初めての会話は、





 「俺と付き合わない?」「死んで」





 その後しばらく男子が近寄らなかったのは、きっとそういうことだろう。


 告白を受け入れたのは五回目の時。




 その時の告白の台詞は、






 「お願いします。付き合えなかったら死にます」






 あまりの情けなさにOKしてしまってからは、主導権は常に私。


 女たらしをいいように振り回す私、カッコイイ。


 でも、付き合ってみたら意外といいやつでウマも合った。


 他の男が寄り付かないという特典付き。


 けど好きって感情があるかどうか、自信ない。







 『おまえさ、いじめられたりしてない?』



 ボケっと考え事をしていると、ユウマは唐突に聞いてきた。
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