【短編】海に降る雪
「この私がいじめに遭うとでも?」
『おまえ結構、敵作るタイプだろ』
「たしかに成績優秀・容姿端麗の私に嫉妬する女はたくさんいるわね」
スポーツ万能、これも追加で。
『いちいち鼻につくなオイ。でも、気をつけろよ』
「うん……わかったよ」
ユウマの言葉は響いた。
自分なりに学校には馴染んでたつもりだけど。
死んだ人間に心配されるほど浮いた存在なんだろうか。
だとしたらちょっと、ショックだ。
「ごめん、眠いからそろそろ」
『わかった、おやすみ。また明日、かけていいかな?』
うん、と返事をして電話を切った。
――また明日、かけていいかな?
さりげない言葉だったけど、なぜかちょっとうれしかった。
ふと、こちらからかけてみようと試みたけど、電話はつながらなかった。