黒い羽根
きゅるる……。
マリアさんのほうから、何か小さな音が鳴るのが聞こえた。
「……何? 今の音」
顔を上げてマリアさんの方を見るとバツの悪そうな顔をして笑って、マリアさんは小さく舌をだしてみせた。
「あはは~……あたしもお腹すいたみたい」
「は?」
思わず聞き返す。
「悪魔なのにお腹減るの?」
目を丸くした僕を見て、マリアさんは眉根を寄せた。
「え~? 減るよ~。あったりまえじゃん」
そう言うと、おもむろに僕の腕をぐい、と自分の方に引き寄せる。
その瞬間、手の平いっぱいに柔らかで暖かな感触が広がり……。
「~~~~~~~っ!!」
先ほどまでのもやもやは一気に吹っ飛び、僕は声にならない叫びを上げていた。
「な~なななななな、なにしてんですかっ!!」