黒い羽根
疑いと悪意に満ちて。
臆病で貪欲で。
醜い――
そんな自分自身もまた憂鬱で。
どうせ変わることが出来ないのなら……この先生きていたって苦しいだけだ。
そうだ、ずっとうんざりしてたんじゃないか。
誰しもを疑わずにいられない世界で生きていくことに。
そうせずにいられない自分自身に。
今更、未練なんか。
再び、凝りもせずそんな生活を続けていくつもりなのか?
馬鹿げてる。
僕はもう充分わかっているはずじゃないか。
僕の世界はずっと灰色のまま、淀んだまま、変わることは無い。
一度知ってしまった世界の色を塗り替えるなんて出来ない……忘れてしまうことなんて出来やしないのだから。
疑うに足る、事実を知ってしまっている僕は、これから先どれほど生きたとしても、疑うことをやめられはしないのだろうから……だったらそれは望むに足る価値のある生と言えるのか?
答えは、否だ。