僕の絵、君の笑顔
正反対の人
――憂鬱だ。


本を片手に、はぁ、と溜息をついた。
周りの人の視線を感じる。きっと歩き方が可笑しくて笑っているんだと思う。
けどそんな事考えてるヒマもない。実際ヒマなんだけど。


「どうした翔子?最近元気ないじゃん」
「ん、…別に何もないよ」
「あんた何その本!」


今私と話している人は中学のころからの友達で、祐樹ちゃん。
もう…説明させないでくれよ。私は忙しいんだよ…。
祐樹ちゃんは私の本をパラパラと読んでいる。


「…翔子、あんたなんでこんな本買ったの?」
「いいじゃん別に。祐樹ちゃんが気にすることないと思うけど…」
「好きな人ができる本ってさ…あんたできたことないの?」
「……」


図星だった。祐樹ちゃんは「数えきれないほど告白されてる癖に付き合ったことないよね~好きな人もできないのはなんで?イイ男いるでしょ?」とか言うけどさ…うん。

もう自分がいやになってきた。


周りの友達は好きな人や彼氏ができてキラキラしてる。
それにくらべて私は一度もそんな特別なことがないし、キラキラ輝いてない。


(どうやったら好きな人ができるのかなぁ…)



< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop