終焉の夜明け
キッ、と睨み付けるけれど
ユータは涼しげににっこり
微笑んだままアタシに言う。
「黙ってても良いよ」
「……交換条件は」
「頭良いね、神野さん。
条件は、俺の言いなりになること」
「断れないんだろうね、アタシは」
「ご名答」
いつも遊び回ってるくせに
変に近所の目を気にする
そんなアタシは、学校を
やめるわけにはいかない。
そのためなら。
「神野さんからキスしてよ」
唇を噛み締めて、背伸びした。
目の前に、狐みたいな
意地悪そうで細長い顔。
悔しいけど、従うしかない。