終焉の夜明け
「樹梨に助けてもらったから大丈夫。
でも、今日会って、こわかった、の」
「っのバカ!」
ギュウッ、と抱き締められる。
「そういうの、ちゃんと言えよ。
お前さ、不細工でも女なんだから
もっと頼れよ、俺の事」
「……不細工ってひどい」
彼の胸に顔をうずめて呟くと、
柚樹はフハッて笑い声をあげた。
「うそうそ。でも美人って顔でも
ないだろ、お前は。
俺はウソはつかない主義なの」
「……ひどい」
「……俺にとっては一番だよ」
黙っていると、柚樹がアタシの
頭を撫でながら、もう一度言う。
「俺にとっては、一番。
ずっと乃衣だけが大事。
出会ってからいままで、
ずっと変わってないよ」