終焉の夜明け
でも、出来なかった。
ゴゥンゴゥンッ──
腹に響く車の音がして間もなく
ド派手な赤のスポーツカーが、
アタシと里緒の前に現れた。
車から降りてきたのは。
「リュー!」
飛び付いたのはアタシ。
受け止めたのはリュー。
両方満面の笑みだった。
「チビ元気そうな。柚樹さんに
聞いたときはビビったけど」
「へーき。心配ありがと」
ユータの事を指していると
すぐに分かったアタシは、
彼のお腹に抱きついたまま
リューの優しさに感謝する。