終焉の夜明け
「んではあたしの愛車で
送ってあげましょーっ」
にかっと明るく笑った里緒は
庭から原チャを持ってくる。
ピンクでラインストーンやLEDライト
ペイントでデコられたそれは派手で
そんなのに天下の
栄東商業の制服で
乗れるわけない。
「遠慮しとく。
先にリューたちと
落ち合っといてよ」
「そー言われると思った」
彼女はブラックの、これまた
デコられたヘルメットを被り
下品なエンジン音を響かせて
あっという間に笑顔で去った。
……思ってたより笑ってて
安心したけど、腕に傷が増えてた。
アタシはきゅっと唇を噛んで
早く里緒のそばに行きたくて
チャリを猛スピードでこいだ。