終焉の夜明け
ドンッ、と突き放すように彼の
胸ぐらを離して里緒の原チャに
飛び乗ってエンジンをかける。
目を見開いたリューだけど
笑って煙草に火を点した。
発進する前にケツに
里緒が飛び乗った。
「野宮(やく)町のスーパー。
あんとき同様おっけー?」
訊くと了承が返ってきて、
アタシの顔はにんまり緩む。
「乃衣、楽しそう」
「気のせいだよ」
空はオレンジがかってきた。
顔がバレないようパーカーの
フードを深くかぶるアタシは
きっと、弱虫じゃなくて
どうしようもないバカだ。