終焉の夜明け



「なんだチビは入んねぇーのか」



パァとクラクションを鳴らして
馬鹿にしたように笑うリューを

思いきり睨み付ける。




「逃げる奴と盗(ギ)る奴
分かれないと危険だし」


「甘ぇー……」


「頭脳派と言って……――っ!?」




里緒がいつ帰ってくるかと
入口をじっと見ていると、

知った顔を見てしまった。





あれは――


「……ユータ」


「あァン?」



低く唸ったリューの声でハッとする。



「っ何でもない」




バンッ!



リューの車の扉が閉じる音。



「……なに」


「アイツが原因か。
栄東の服着てる――」


「……同じ学校だから動揺しただけ」


「――震えてる」




ギュッと、ハンドルを持つ手を握られた。


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