終焉の夜明け
「っ気のせいだよ」
強がったアタシは手を振り払う。
間もなく里緒がカゴいっぱいの
商品を抱えて出てくるはずだ。
だから、ユータは関係ない。
それに柚樹がボコってくれたから
何もしてこないだろう。
第一むこうはまだこっちには
気づいてさえいないのだから
危惧する必要は1ミリもない。
でも、もしユータに見つかって
この万引きの写真でも撮られたら――
アタシはギュッと唇を噛み締めて
酷く傲慢な願いをリューに述べた。
「アイツ、再起不能にして」
自らを守るためと言えば
聞こえは良い気がするが
暴力で片付けようとするなんて
アタシはつくづく不良なんだと
心の底から思う。