終焉の夜明け
盗品のひとつのスナック菓子を
投げ渡して波瀬を睨むと、
彼はクスクス笑った。
「総長と流しの最中でさ?
リューさんの連絡教えたら
総長が特攻隊を引き連れて
向かったから、俺等はお前の
保護を任されたの」
“『ピンクロ』やってるとかは
思わなかったけどな”
ピンッ、とコインが弾かれ、
彼の手元からアタシの足元へ
100円玉が飛んでくる。
「まいどあり」
アタシの代わりに里緒がそう笑った。
『ピンクロ』は盗った物を
相手の言い値でいくらでも売る。
それは0円からokだけど
おさなかったあの頃は、
万引き成功を褒めるように
誰もが定価で買ってくれて
アタシ等はその金で遊んだ。
「『ピンクロ』って懐かしいね」
アタシが笑うと里緒も笑ってくれた。