終焉の夜明け
愛樹
そこからは思い出話ばかりだった。
ぶっちゃけ里緒は忘れてるっぽいが
波瀬とは『ピンクロ』時代に何度か
出会って、むしろお得意様だった。
アタシがそれを教えてあげると彼女は
「うそだぁ」と大声で否定する。
まぁ、あの頃の波瀬は茶髪だったし
覚えてないのも無理はないと思う。
アタシだって、去年の今頃に愛樹に
紹介されてから思い出したしね。
でもね。ちょっとだけ、寂しい。
里緒があの頃の事忘れてて。
私は、ぜんぶ、覚えてんのに。
彼女と出会った小6の夏。
一番ひどいいじめを受けて
周りの人間すべてが嫌いで
でも、同じくいじめられてた
そんな里緒だったからこそ、
アタシは彼女と友達になれた。
そんな日の記憶──