終焉の夜明け



ギュッ、と力を込めて、

運転する柚樹の背中に掴まると、
彼はクラクションを


パァパァパァ、と三回鳴らす。






「大丈夫だよ、柚樹」



優しい音に、ほっと胸を撫で下ろして、
アタシはその背に身体を委(ゆだ)ねた。




彼からは、優しい柑橘(かんきつ)系の
香りがする。

それと、スゥッとする、煙草の香り。




その香りは、

いつも柚樹から香るもので、
なんだか安心する。





――――柚樹のケツ。

そこは、アタシが一番
安心できる場所。




< 26 / 143 >

この作品をシェア

pagetop