終焉の夜明け



『夜道は危険だ』なんて
ヒトは言うけれど


柚樹に迷惑かけるぐらいなら
アタシは“危険”で良い。



“危険”が良い。






――……リューのマンションの
外に出ると、

春の夜風が冷たかった。




遠くから

ブォンブォンッて、

けたたましい音がする。




パァアアアッて、

クラクションが鳴り響く。



駅に近いこの辺は、
夜でも騒がしく、

喧騒がアタシの肩を震わせた。




……やっぱり送ってもらえば
良かったかも。



なんて思っても
もう遅くて――




アタシは出来るだけ足早に


その場をあとにする。




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