終焉の夜明け



乱暴に、投げるように
単車の後ろに乗せられて

紫色のヘルメットを
押し付けられた。




「ちょっと、純!」



扱いにイラついたアタシは
文句を言いつつ

飛び降りようと足をあげる。



けど――



アタシの行動より早く
純は単車のエンジンを

唸(うな)らせてしまった……。




ブォオオンッ ブォ ブォッ


リズム良くクラッチリズムを奏でて――


身体の芯に伝わる
小刻みの震動。



アタシはそのせいで
バランスを崩しかけて

慌てて純の背中に掴まった――。

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