終焉の夜明け
路肩に単車止めて
道を歩く彼を見ると
ひょろっとして
バカ面ひっさげた"他人"。
アタシは無視(シカト)決め込んで
運転する純に「出して」って言う。
「え、待って、神野さんだよな!?」
でも彼は、単車の
三段シートを掴んで
アタシ達を制止する。
「……乃衣ぇ?」
楽しい時間を潰されたと
思っている里緒は、低く
唸りながら背後で動く。
引っ掴まれた髪は痛くて
反射的に謝ってから
単車を飛び降りる。
「先、リューん家行ってる」
純はそう言うと里緒を乗せたまま
走り去った──。
畜生。アタシの時間
ぶっ潰しやがって。
拳を握りしめて彼をにらむ。