終焉の夜明け


黒髪で縦長の頭。
切れ長の目に、
ひょろっとした体形。





だれだよ? って
いぶかしげな視線を向けると

彼は怯んだように
少しだけあとずさった。




「……な、なんか怒ってる?」


「べつに」




目付きが悪いのは
目が悪いから。

目付きが悪いのは
"人間不信"だから──。





そんなことを知らない彼は
頬をひきつらせて
アタシを見据えてくる。




真っ黒な瞳は"パンピー"みたいで
アタシはふっと視線をそらす。



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