終焉の夜明け
嬉しかったわけじゃない。
"もっと"って意味じゃない。
怖くて、足がガクガクして
立っていられなくなったから。
そんなアタシの態度に気づいた彼は
唇を5ミリほど離して
クスリと笑う。
「感じてンの?」
「っちがう!」
真っ赤になって
足腰ガクガクで
叫んでも意味はなかった。
再び押し付けられた唇は
しだいに首元へ落ちていく。
やだ……。
いやだ。
頭ん中、グルグル回る。
"アイツ"とヤった
あの日の記憶──
「やめて……」
かろうじて囁いた言葉は
彼のキスでかきけされた。