終焉の夜明け
とか言いつつ──
「乃衣、久々じゃーん!
はいっ、かわいこチャンには
飴ちゃんあげるぅッ」
樹梨は男を踏みつけたままで
アタシにロリポップキャンディーを
差し出してきた。
いちご味のソレを
戸惑いつつ頂戴し
クスリと笑う。
えげつなく一発KOかまして
満面の笑みでアタシを見る
そんな不釣り合いが
無性に可笑しくて、
いつのまにか恐怖は
取り除かれてた。
まさしく、他人(ひと)を
一瞬で楽しませられる
“宴会隊長”片瀬樹梨。
彼女の元に精鋭が集まり
暴走族が出来上がったのは
そんなカリスマ性に
引き寄せられたからだと
アタシは思う。