終焉の夜明け
間も無く、何処からか
単車の唸りが聞こえた。
ヴォオオンッ――
10秒もせずに現れた
ブラックの単車(マシン)。
タンクには深紅の蝶が待って
真っ黒な特攻服(トップク)姿は
“夜樹蝶”背負って
真っ直ぐ胸を張る。
フルフェイスのヘルメットから
あふれだす金色(こんじき)は、
樹梨に劣らぬほど美しかった。
「愛樹、」
樹梨は、彼女が単車から
降りる前に呼び掛ける。
「なぁに」って、冷たく言った
愛樹はヘルメットを脱ぐけど、
現れたのは完全"無表情"だ。