終焉の夜明け
けど、さすがは『夜樹蝶』だ。
いや、さすがは樹梨と愛樹。
あっと言う間に追っ手を巻いて
アタシを家まで送り届けた。
「アイツ、どうしてほしい」
タオルを取りながら降りると
愛樹は冷たく言葉を放った。
「どうって……、」
「リンチかけよーか」
「やめて!」
アタシのために
怒ってくれてる。
それは嬉しいけど
アタシはヤられてない。
だから、いい。
「いい。
アタシは『夜樹蝶』じゃ
ないんだからさ……
あんま構わないで、いい」