終焉の夜明け
アタシが首を振って
うつ向くと、クスリと
笑みが聞こえてきた。
顔をあげると、樹梨が
単車から降りてきて、
アタシの目の前に立つ。
ふわり。
その微笑みは、どんな女優にも
劣らないぐらい美しく魅せる。
「アンタがそういうなら
今回は流してあげる。
けど、乃衣は特別だから」
樹梨は、アタシの頭を撫でる。
「柚樹の好きな人。
……弟が想ってやまない子、
わたしも守りたいの」
ドクンッ!
心臓が脈打って、
頭に思い浮かぶ。
――柚樹に告白された
中学時代が、鮮明に。