極上シークレット
「おい。」
不意に響いた声にビクッと震える。
今一番聞きたくなかった声
―――イブキ。
泣き顔なんて死んでも見られたくない。
てか、アンタの所為で泣いてるとか、絶対知られたくない!
アタシの気持ちを読んだみたいに兄ぃが腕にぎゅっと力を込めて、アタシを隠すみたいにイブキに背を向ける。
「んあ。そろそろ時間か。直ぐ行くから先行っとけ。」
反論の余地もない口調。
イブキは暫く黙ったまま立ってたけど、何も言わず歩きだしたのが足音で分かった。