極上シークレット
迷路みたいに入り組んだ廊下を歩いていたアタシは、不図足を止めた。
・・・・む。この声・・・
切れ切れに聞こえるのは鼻にかかった女の声と・・・・
やっぱり。
エレベーターやエスカレーターのお陰で今や使用者皆無に等しい階段をそっと覗くと、クソイブキとオンナが踊り場にしゃがみこんでイチャついていた。
こないだの女と違うし!
芸能には疎いけど、その女は見覚えがある。
アタシのうろ覚えでは、カワイイ顔してすんげー生意気且つ、スキャンダルで名を轟かせている事で有名な歌手のアンって女。
なんかいらつく。
そんな女に手ぇ出すなんてホント、節操ないわね。
それはともかく。
アンタを制しない事にはアタシの特別ボーナスなくなるじゃないのよ!!
アタシは勇ましく現場に踏み込んで、足を振り上げた。
勿論、アイドルの付き人として、商売道具に傷なんか付けやしないわよ?