夏の空に
夕飯をつくることもなく、掃除をするわけでもなく、ただ、ひたすら泣いた。



「夏奈子、見たの?」



春幸くんの声がして、春幸くんに飛び付いた。


「なんで春幸くんなの!?何も悪いことしてないじゃん!」


「夏奈子、落ち着け。戦地に行っても、帰ってきた人はいる。俺は必ず帰ってくる。心配すんな。」


外は、ひぐらしがただ、悲しそうに鳴いていた。
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