君 距 離 〜キミキョリ〜
これ以上、心配はかけたくない。
迷惑もかけたくない。
「ワタシ、そろそろ帰らないといけないんだ」
咲子には弟がいる。
両親とも、共働きなので、咲子が面倒を見なければならないのだ。
「じゃぁ、俺、送ってくわ」
「分かった。
また明日な」
「バイバイ」
部屋には、ワタシと一樹の2人が残った。
「…一樹、今日ありがとね」
「別に、俺は何にもしてねーよ」
「絶対に…、絶対に誰にも言わないでね」
「加奈がそう言うなら、言わねぇ。
でも、加奈はどうするんだよ」
「分からない。
…でも、ワタシ以外、誰も傷付けたくない」
「加奈だって、傷付ついちゃダメだろ」
「ううん、いいの。
ワタシの身勝手な気持ちが、みんなに迷惑をかけてるだけだから」
「身勝手なんかじゃねぇよ。
加奈の気持ちは、誰かに許されなくても、持ってていいもんなんだ」
「ダメだよ…」