『若恋』榊の恋【完】





「毅から話を聞け」

「…そうですね」



落ち着いて考えてられるのは若に気合いを入れてもらったからだ。



「すみません。毅」

「なんで榊さんが謝るんですか。謝らなければならないのは俺の方です」

毅のぐるぐる巻きにされた額の包帯を見ながら自分が焦って毅を蔑ろにしていたことを恥じた。



「交差点で襲われた時に、前に龍神会の抗争でやりあったヤツがいました」


「どんなヤツだ?」

若が話を繋いだ。



「龍神会を潰した時に榊さんが撃った男です。傷が大したことがなかったのか逃げたひとりです」


「仲間は?」


「3人でした。飛び出して車を止めたヤツもグルなら4人です」


毅は的確に欲しい情報をくれる。


「襲った男のひとりは腕に龍神が彫ってありました。その男が指図して拐っていきました。
…俺は殴られて気を失ってました。
すいません」




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