『若恋』榊の恋【完】
龍神会残党が恨んでいる。
指揮して根絶やしにしたのは自分だ。
「行くぞ。毅はりおを頼む」
今回もりおさんには知らせずにおくんだろう。
知らせれば必ず行くと言うから。
玄関を出て仁のベンツ後部座席へ若と乗り込む。
「さっきは殴って悪かった」
「いえ、かえって目が醒めました」
「おまえが取り乱したのをみたのはこの間の龍神会残党以来だな」
若が隣で言うと、運転席で仁が深く息を吐いた。
「榊は俺が余計なことを言ったからひかると別れちまったんだろう?」
「そうじゃないですよ」
ルームミラーから仁が苦笑いしてるのが見えた。
「自分の甘さからこうなったんです。誰がどうとかではなく」
「ひかるが大事なんだろう?」
「………」
答えに迷う。
口にしたら最後。