『若恋』榊の恋【完】
「大事にしてるんだろう?いつもおまえはあの娘をみている」
認めてやれ。
お前の気持ちを認めろ。認めてやれ。
若の目がそう言っていた。
「…ひかるちゃんを助けだしたらその時には」
今はそれしか言えない。
まだ言うべき時ではない。
「可愛い妹をあんまり泣かせるな」
「はい」
「わかってるならそれでいい」
若の見る目がスッと優しくなった。
満足気に頷いている。
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「もしもし、俺だ」
大通りを走っている時に。
中学校近くの毅が襲われたと言う交差点から、北に数百メートルのところに廃墟病院があると、毅から仁の携帯に連絡が入った。
「前広は他の病院を探せ」
「わかりました」
「若、気をつけて」
「俺は大丈夫だ。お前らも気をつけろ。もし何かあった時は呼べ」
「はい」