『若恋』榊の恋【完】



「大事にしてるんだろう?いつもおまえはあの娘をみている」



認めてやれ。

お前の気持ちを認めろ。認めてやれ。

若の目がそう言っていた。


「…ひかるちゃんを助けだしたらその時には」


今はそれしか言えない。

まだ言うべき時ではない。




「可愛い妹をあんまり泣かせるな」

「はい」

「わかってるならそれでいい」


若の見る目がスッと優しくなった。
満足気に頷いている。





♪♪♪♪♪♪♪♪
♪♪♪♪♪♪♪♪


「もしもし、俺だ」



大通りを走っている時に。
中学校近くの毅が襲われたと言う交差点から、北に数百メートルのところに廃墟病院があると、毅から仁の携帯に連絡が入った。



「前広は他の病院を探せ」

「わかりました」

「若、気をつけて」

「俺は大丈夫だ。お前らも気をつけろ。もし何かあった時は呼べ」

「はい」




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