『若恋』榊の恋【完】
『そうだな…あと30分でここを探しだせたら女は無事。それを過ぎたら女は無惨な姿を曝すことになるってのはどうだ』
「…30分ですね?」
時間との戦いだ。
見つけ出せたなら勝ち。
見つけ出せなかったらその時は―――
考えたくない。
『では、30分後』
プツッ
携帯電話は音をなくす。
「…………」
「わかってる。榊の勘が当たってることを願うだけだ」
30分では二件回れない。
前広たちが正解だったとしてそこに駆けつけてギリギリセーフくらいだろう。
「榊、大丈夫だ。俺の勘が正しければ今向かってるとこに奴等はいるさ。だから安心してろ」
「そうだといいですね」
「いるさ。絶対いる」
「………」
「絶対に俺の勘が当たってる」
運転席で仁が頷いてみせた。
仁の勘。
外れたことはない。そう願う。