『若恋』榊の恋【完】
「あと、5分で到着だぜ」
「これを使わずに済みてえけどな」
仁の運転で5分と聞き。
若が脇に吊ってある銃を捲る。
「無理でしょう。今回の相手はこの間の雑魚とは違うようです」
「そうだな」
若のため息は深い。
龍神会の残党狩りは二回目。
「今回は誰も傷つかずに済むってのは難しそうだな」
「そうですね、でも。こっちには仁がいます。もしそうなっても仁の野生の勘がわたしたちを導いてくれるでしょう」
「俺は犬かなんかか?そう聞こえるぞ」
「誉めてるんですよ」
「そうか?誉められてる気がしねぇけどな」
仁がニヤッと不敵に笑う。
「仁の勘だと俺たちの向かってる方が正解か?」
「だと思う」
「…それに賭けてみるか」
「あ?」
仁が一瞬だけ振り向いた。
「どうだ?」
「いいぜ」
「よし、前広たちも俺たちと合流させろ」