『若恋』榊の恋【完】
一発で倒し、転がったままピクリともしない男の髪を掴んでグイと上向けた。
息はもはやしていない。
「知らねえ顔だな」
「雑魚でしょう。まずは進みましょう」
ひとりはあっけなく倒した。
次は―――
『榊を出せ』
一番奥の院長室から出てきたのは2人。
龍神会を制圧した時に撃った幹部のひとりだ。
もうひとりは猿轡を噛まされ手首を縛られているひかるちゃんの姿だった。
―――ひかるちゃん!
『榊が死ぬか、この娘が死ぬか』
ひかるちゃんのこめかみにゴツイ銃を突き付けて返答を待つ。
「死ぬのはお前だ」
『俺は端から助かるなんて思ってねえ、おまえを苦しめられるだけでいいんだからな』
「!?」
横からいきなり転がってきた金髪男が真正面に銃を構えた。
「榊危ねぇ!」
ドン!
仁が力任せに体当たりした。