『若恋』榊の恋【完】
守りたいものは彼女だ。
「彼女を離せ」
持っていた銃をわざと床に置いて丸腰になってることをアピールする。
「もっと近くに来いよ」
嘲るような笑い声をあげる中をゆっくりと近づく。
「来ちゃダメ!」
さっき悲鳴を上げた時に猿轡が緩んだのかひかるちゃんがまた叫んだ。
「榊さんが殺されちゃう!」
「この娘が心配なら来いよ」
「やだ!榊さん来ないでっ!わたしなら大丈夫だからっ!」
ひかるちゃんの半狂乱で叫ぶ瞳に涙が滲む。
そんな顔をさせたくなかったのに、ひかるちゃんは自分といると泣いてることが多かったように思う。
「彼女を離してください。彼女は関係ないはずです」
「ふっ、やだね」
「あなたはわたしが憎いんでしょう?彼女には関係がないです。離してやってください」
「お前の目の前で女を撃ち殺せば―――」