『若恋』榊の恋【完】
パン、パン
ビシッ
「いやあっ!榊さん!」
縛られているひかるちゃんが全身を揺らして叫んだ。
肩に痛みが走り、自分が撃たれたことを知る。
「俺と同じとこに穴開けてやったぜ」
ククッ
「榊さん、逃げて!」
ひかるちゃんを逃がさないように羽交い締めにして男が声を噛み殺して笑う。
「そんなにこの女が大事か?」
「だったらどうだって言うんです?」
「お前の見てる前でこの女をヤってやる。それから撃ち殺せば」
「やれるものならやってみてください」
もう迷わない。
この身がどうなろうとかまいやしない。
「榊さん、逃げて!」
「うるせえ、このガキ黙ってろ!」
男がひかるちゃんを振り回して、
「きゃっ」
よろめいて壁にぶつかった。
「ひかるちゃん!」
「わたしは大丈夫だから」