『若恋』榊の恋【完】
途中で、肩を掠った血を拭きとり包帯を巻き。
新しいスーツを買い、身を包んだ。
ひかるちゃんの体にあった制服を用意し血の臭いを消した。
「後悔はしませんね?」
これからひかるちゃんの両親から奪いにいく。
片時だって離れたくない。
「本気の大人は手に負えませんよ。泣こうが喚こうがもう手放してなどやれません」
覚悟は決めてある。
反対されても説き伏せる。
そのための条件ならいくらだって飲む。
「榊さん、あのね」
「どうしました?」
ひかるちゃんが隣で顔を紅くしてはにかんだ。
「拐いにいくってのは…もしかして、その」
言葉が続いてこない。
もじもじして上目遣いで見上げてくる。
「ええ、言葉の通りです。ひかるちゃんを嫁にもらいに行くんです」