『若恋』榊の恋【完】
何度もひかるちゃんやりおさんを送り迎えした天宮家に到着すると、ひかるちゃんの両親は車から降りたひかるちゃんをヒッシと抱き締めた。
「無事でよかった…」
無事に助けだし怪我もないと、連絡は入れてあったが、今回も事件のもとを質せば自分が原因だ。
「すいませんでした。わたしがすべて悪いんです」
言いかけて途中で下げた頭を上向かされた。
「その先の話しは口にしないでください榊さん。こちらは娘を無事に助け出してくれただけでそれ以上に望むことなんてないんです」
ひかるちゃんの両親はりおさんを若に預けた時と同じで寛容な心の持ち主だ。
ひかるちゃんが無事に戻ってきたならそれでいいと笑えたのだ。
その両親からひかるちゃんを奪う覚悟を決めた。
「ひかるちゃんのお父さんにお願いがあります」